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2011 年度 実績報告書

近世日本数学の方法と論理

研究課題

研究課題/領域番号 22540155
研究機関四日市大学

研究代表者

小川 束  四日市大学, 環境情報学部, 教授 (90204081)

研究分担者 森本 光生  四日市大学, 関孝和数学研究所, 研究院 (80053677)
キーワード至誠賛化流 / 淇澳集 / 大成算経 / 同文算指
研究概要

至誠賛化流の門人が作成した主として平面幾何学の問題を集成した『淇澳集』の解の導出構造を推定し,その構造を研究した.その結果,解に用いられている幾何学の知識は必ずしも多くないが,問題によってはその導出の系統,ステップの数が多いものがあることがわかった.それはとりもなおさず当該の問題が難問であることを示している,この観点から見ると,各年度,冒頭の問題はそれ以降の問題に比べて難問であり,自流の威厳を示すための編集上の工夫がなされていることが明らかになった.この方向での研究は各流派に入門した人々が楽しみ研究した数学の実像をある客観的に解明するものとして新たな意義を有するものである.
関孝和,建部賢弘,建部賢明による『大成算経』は当時の数学を集大成しようとする試みであり,その研究の意義は言をまたない.しかし,その劈頭の二巻に述べられている珠算法をめぐる記述は,その内容が初等的,技術的であるとの理由から,これまで看過されてきた.しかしこの部分の精読によって,編者が珠算法の網羅およびその徹底的な分類を試みたことが明らかになった.このような思想は「三要」において特に明確であるが,その思想の一貫性はすでに冒頭から体現されているのである.この点で本年度の研究は『大成算経』を全体として俯瞰,把握する試みとしてその重要性を有する.なお,これに関連して,本年度は珠算法自身に関しても若干の考察をした.
クラヴィウスのEpitome Arithmeticae Practicaeに基づき翻訳,執筆された『同文算指』に関して詳細な対照を作成した.このような研究は精密な研究の基盤として重要であるが,これまで十分になされてこなかった.このような研究は中国の研究者においてもその萌芽が見られ,今後ますますその重要性が増すと思われる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

至誠賛化流に関しては京都大学数理解析研究所における研究集会で発表,講究録への投稿をすることができた.『大成算経』に関しては数学史名古屋セミナーにおいて継続的に研究を進め,数理研の集会で発表することができた.『同文算指』に関しては数学史京都セミナーにおいて研究を進め,九州数学史シンポジウムや中国清華大学のシンポジウムで講演することができた.

今後の研究の推進方策

今年度も引き続き至誠賛化流の研究を続けるが,京都における三木流の研究の意義についても考えてみたい.『大成算経』,『同文算指』に関しては今年度も両セミナーで研究を続ける.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ユークリッドの互除法の珠算への応用2011

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 雑誌名

      数学文化

      巻: 16 ページ: 22-36

  • [雑誌論文] 珠算による江戸時代の無限級数の再現にむけて2011

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 雑誌名

      数学文化

      巻: 16 ページ: 56-63

  • [学会発表] 『大成算経』の「雑技」について2012

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 学会等名
      京都大学数理解析研究所研究集会
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      2012-02-10
  • [学会発表] Clavius's Epitome Arithmeticae Practicae and the Tongwen Suanzhi2011

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 学会等名
      The 5^<th> International Symposium on Ancient Chinese Boos and Records of Science and Technology
    • 発表場所
      Tsinghua University
    • 年月日
      2011-09-24
  • [学会発表] 『淇澳集』における解法の構造について2011

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 学会等名
      京都大学数理解析研究所研究集会
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      2011-08-23

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公開日: 2013-06-26  

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