研究課題
研究計画全期間を通じての主題は「非因果的確率微分方程式の基礎的研究」である。即ち確率解析の基本素材である非因果的確率積分そのものの性質の解明と非因果的確率微・積分方程式の基本的性質の解明を第1の主眼とする。特に非因果的SDE・SIEをその非因果性の現れ方に応じて、解の基本性質解明を目指す計画であるが、平成22年度は計画初めの準備段階として以下の基礎的問題と応用問題について研究を行った;(1) フレドホルム型の確率積分方程式は典型的な非因果的方程式であるが、解の構造を調べる為に乱関数の確率的フーリエ変換を導入し、方程式が線形の場合にはこれが極めて有効であることを解明した。また併せて確率的フーリエ変換の可逆性について基本的な結果を得た。これらの結果の一部は既に国内外の研究会で発表しているが、学会誌に投稿すべく現在は論文の形にまとめているところである。(2) 2010年4月9-17日の期間、台湾中央研究院数学研究所(世話役;Hwang Chii-Ruey教授)と台湾大学数学科の支援のもとM.Pontier (Univ. Toulouse), P.Imkeller (Univ. Humbold), G.Kerkyacharian (Univ. Paris-7)教授他の参加を得て台湾大学にて公開講座"Spring School on Stochastic Calculus and Applications"を組織し非因果的解析について入門的連続講演を行った。このほか2011年3月には、D.Picard氏(パリ第7大教授)を訪問し、統計的問題への応用に関する共同研究を継続した。
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Mathematics and Computers in Simulation
巻: Vol.80, No.9 ページ: 1962-1976