非因果的確率積分方程式の研究で導入された確率フーリエ変換の「可逆性」を中心課題として研究を行った。ところで確率フーリエ変換は与えられた乱関数の確率フーリエ係数から構成されるが、確率フーリエ係数は定義に用いる確率積分により異なったものが可能である。本研究では「伊藤積分、非因果的確率積分(いわゆる Ogawa Integral)及びSkorokhod積分(拡張伊藤積分)」によるものを研究対象としており、平成25年度は「伊藤積分、Skorokhod積分」の場合に焦点をあてた研究を行い次の成果をえた;伊藤積分、Skorokhod積分どちらの場合でもWiener空間上でのSFTが可逆であることを示した。またそれぞれの場合について可逆変換の公式あるいはアルゴリズムを示した。特に「伊藤積分」の場合はWiener空間と限定することなく可逆性が成り立つことも示し、現在は直接的な逆変換公式導出の可能性について研究を継続している。SFTの中で特に Natural SFTの概念を導入し、これと「伊藤積分」との関係を明らかにしたが、このうち一部の結果は「非因果的積分(Ogawa積分)」でも成り立つことを示した。 研究結果の発表状況は以下の通り、それぞれ(④を除く)の詳細は次ページの項目に記載してある;①発表論文数(査読付き学会誌に掲載されたもの)は3件、投稿中のもの1件、②国内学会発表(1件)、③国際研究会での発表6件、④国内研究会での発表1件。
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