本研究「線形系のロバストな最適フィルタ」において、最適フィルタに関する理論的な考察により、チェンとパットンが彼らの間違った基本公式に基づいて、誤った最適フィルタを導出していることを明らかにした。そして、京都工芸繊維大の澤田氏との共同研究において、修正された公式および正しいロバストな最適フィルタを発見することができた。さらに、離散時間線形システムに対する固定点スムーザー、固定区間スムーザー、固定遅れスムーザーの3種類のロバストなスムーザーすべてを、ロバストな最適フィルタより導出できたことは初めてのことである。したがって、未知のパラメータを有する離散時間線形システムに対するロバストな最適フィルタおよび最適なスムーザーの理論をおおむね完成された形に構築することができた。 また、PC上の数値シミュレーション用のプログラムの開発に関しては、澤田祐一氏が作成したチェンとパットンのODDO(最適外乱除去オブザーバー)の数値計算プログラムを、我々のアルゴリズムの形に修正したものをMATLAB(PC版)用に作成することができた。そして、京都工芸繊維大における種々のシミュレーションにおいて、我々の方法の方がカルマンフィルタやODDOよりもロバストで良い結果を示すことを確認できた。このことは、我々の理論の正しさを強く下支えするようで大変心強い。また、ワシントン大学の向井氏のグループは、チェンとパットンのODDOでは収束しないが、我々のアルゴリズムでは収束し、その挙動も良好な多くの具体例を飛行問題等において見出すことができ、我々のアルゴリズムの信憑性・信頼性をさらに高めることができた。
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