研究課題/領域番号 |
22540161
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
寺本 惠昭 摂南大学, 理工学部, 教授 (40237011)
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研究分担者 |
伊東 恵一 摂南大学, 理工学部, 教授 (50268489)
島田 伸一 摂南大学, 理工学部, 准教授 (40196481)
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キーワード | ナビエ・ストークス方程式 / 自由表面流 / ベナール・マランゴニ対流 / 定常解分岐 / 周期解分岐 |
研究概要 |
自由表面・界面をもつ粘性流体の運動を記述する方程式系について、数学的解析を継続している。 自由表面をもつ熱対流問題で表面張力が温度に依存して対流が形成される現象については、すでに示した分岐解の存在について、計算機支援解析により分岐が亜臨界か超臨界かを示す方向で当該年度では研究を進めている。 重力の影響下に斜面上または垂直平面を流れ下る非圧縮粘性流体を記述する自由表面問題についても、周期解分岐の存在定理を示したが、熱対流と同様に分岐が亜臨界か超臨界かを計算機支援解析で示す方法をこの年度では検討する予定である。またこの問題については、流体の定性的状態を示すレイノルズ数が十分小かつ表面張力が十分大であれば、平衡状態の層流が安定であること示し平成22年度ダルムシュタット工科大学で開催された研究集会で口頭発表した。現在物理的妥当性をより正確に述べるため、解の構成と評価に用いるKorn不等式およびKorn-Poincare不等式の最良定数を求め臨界レイノルズ数を厳密化を図る取り組みにかかっている。1960年代から物理的観点により、長波長極限の近似方程式が導かれているが、初期値問題の解の一様評価を示すことによりこの導出の数学的正当化についても並行して取り組んでいる。完全流体の自由表面運動の近似方程式の数学的妥当性については、数名の研究者によりいくつかの論文がすでに発表されているが、粘性流体の場合に近似の正当性を示す結果は未だになく、この研究期間中にこの成果をあげる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度当初、平成23年3月に口頭発表した研究結果を論文として年度内に執筆終了し投稿する予定であった。その後、共同研究者と研究内容を検討し計算過程の評価を厳密にしより精度を高めることで物理的により妥当な結果にできることを確認した。現時点で当該論文はほぼ完成しまもなく投稿予定できる段階にある。また長波浅水波近似方程式の数学的妥当性についても準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
流体方程式系の自由表面問題について、定常解分岐および時間周期解分岐を示す定理はすでに得られている。分岐して出現する解の安定性については亜臨界か超臨界分岐を見極める必要があり、そのためには分岐方程式の係数などについてより詳細な情報が必要になる。分岐解を数値的に近似し係数の近似値をその精度を保証して求めることで結果を求める。また長波長近似の正当化については、擬微分作用素による方程式の取り扱いで解の具体的表示をすることで対応する。
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