平成22年度は、被近似関数である連続関数fとして、いかなる標本点の集合の列をとっても、それによってできるfの一般化された補間多項式の列がfに収束するようなfの特徴づけに取り組んだ。一般化された補間多項式というのは、通常の多項式と同じように補間を考えることができる関数系である無限チェビシェフ系による補間を考えたときの補間関数のことである。 この課題については、研究協力者である西野好行氏が代表者北原の以前の論文の手法を使って、fの特徴づけとまでは行かないが、fの性質を導くことが出来る可能性があることを示し、それについて議論を重ねることによって1つの結果を導くことに成功した。その結果は、「無限チェビシェフ系がk+1回連続微分可能な関数からなるのであれば、上の性質をもつ被近似関数fは少なくともk回連続微分可能である。」というものである。よって、「無限チェビシェフ系が無限回連続微分可能な関数からなるのであれば、上の性質をもつ被近似関数fも無限回連続微分可能である。」となり、fは近似関数系の微分可能性と密接な関係にあることがわかった。この結果については、関数近似の国際研究集会で西野氏と北原の連名で発表し、学術雑誌にも掲載済みである。 また、補間に関して絶対値をとったときに被近似関数の絶対値と一致するような補間を絶対値補間とよび、それについて研究分担者の地道氏と数値実験と議論を重ねて、いくつかの結果を得ている。現在、結果公表に向けて準備を進めているところである。
|