研究概要 |
関数 f が 2点テイラー展開可能であることの定義であるが,与えられた 2 個の標本点における重複度 n (各標本点の重複度が n)のエルミート補間多項式 pn(x) を考え,n を無限大にしたときに pn が被近似関数 f に定義された区間の点で収束するとき,f は与えられた 2 点でテイラー展開可能であると呼ぶことにする.取り組むべき大きな課題は,どのような関数が2点テイラー展開可能であるかということである. 昨年度の時点で次の結果を得ていた.1 つは 1 点テイラー展開可能な関数(通常のテイラー展開可能な関数)が 2 点テイラー展開可能であるということ.もう 1 つは,x = 0 を境に x が 0 以上の範囲で多項式 p(x) で表され,x が負の範囲では多項式 q(x) で表される連続な関数 f(x) を与えたとき,この関数は 2 点 -1,1 を中心にして 2 点テイラー展開可能であることについて示した. 今回は 2 点テイラー展開可能な新たな関数のクラスを探すことを主な課題とした.便宜上,標本点は -1, 1 の 2 点で考える.結果としては,x = 0 を境に x が 0 以上の範囲で解析関数 p(x) で表され,x が負の範囲では別の解析関数 q(x) で表される関数 f(x) (x = 0 での連続性はなくても良い)を与えたとき,この関数は 2 点 -1,1 を中心にして開区間 (-1, 0) と (0, 1) の和集合で2 点テイラー展開可能であるということである.さらに f(x) が x = 0 で連続ならば,f(x) は2 点 -1,1 を中心にして閉区間[-1, 1] で2 点テイラー展開可能である.また,f(x) の 2 点 -1,1 における2 点テイラー展開の x = 0 における収束性や項別微分可能であることも証明した.
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