研究課題/領域番号 |
22540166
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
倉坪 茂彦 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 客員研究員 (50003512)
|
研究分担者 |
中井 英一 茨城大学, 理学部, 教授 (60259900)
|
キーワード | 多重フーリエ級数 / 級数の点毎収束 / 重み付き格子点問題 / Gibbs-Wilbraham現象 / Pinsky現象 / 波動方程式の基本解 |
研究概要 |
「多重フーリエ級数の収束問題と解析的整数論における重み付き格子点問題の接点について」の研究を進めるため、フーリエ級数の関連する研究を再検討し、格子点問題の視点を加味することによって新しい結果を得るという我々のテーマに沿った方向で下記の結果が得られた。 1.格子点問題では、伝統的に各点毎の評価を得るのを目的とし、一様評価については研究対象外であった。一方、フーリエ級数の一様収束の議論には、格子点問題の一様評価が必要となる。我々は格子点問題の一様評価についてある結果を得た。論文は現在投稿中である。 2.1993年に発見されたPinsky現象、すなわち3次元以上の場合、原点から離れた不連続点の存在が原点におけるフーリエ級数の挙動に大きな影響を与え、そこで発散するという、現象は、球の特性関数のフーリエ級数により具体的に証明される。2次元の場合にも、円上に特異点を有する関数(とくに2次元波動の基本解を含む)を考えることによりPinsky現象の出現することがM.E.Taylorにより示唆された(厳密な証明ではない)。我々はポテンシャルに関連する関数を用いて次元について統一的に議論し、Pinsky現象が生じることを証明した。この場合も重み付き格子点問題と密接に関連づけられることが分かった。 3.2のフーリエ級数は、3つの項(対応するフーリエ変換、格子点問題にかかわる項と誤差項)に分解される。特異点(円あるいは球面)以外で第2項が本質的な項であることを示すには、"下からの評価"が必要となる。これについてある程度満足する結果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね計画通り順調にすすんでいるが、論文化の段階で若干停滞している。
|
今後の研究の推進方策 |
概要に述べた「1.」については投稿済みである。「2.」については投稿すべく論文化をすすめている。また、「2.」でフーリエ級数を対応する関数のフーリエ積分(P1)と格子点問題にかかわる部分(P2)と誤差(P3)の3つのパートに分解できることを示したが、特異点を除けばP2が最も大きいことを示すことが必要であり、その解決に取り組むことを目標としている。
|