まず、超函数の半連続写像の定義の拡張および貼り合わせの可能性については、一般の場合への拡張はまだできていない。ただ、古典的な場合、すなわちコンパクト台を持つ超函数の空間や実解析函数の空間から超函数の空間への場合にうまくいくのは積分変換による表現ができてその積分核を貼り合わせる際に大域切断の表現が使えるからであり、そこに局所凸空間への拡張のヒントがありそうだ、ということが次第に明らかになってきた。次年度以降に引き続き取り組みたい。 また、有界型の超函数を対象とした変換については、通常の意味で固有な台を持つ超函数を核とする積分変換のみでなく、古典的には無限遅れの作用素と呼ばれるものに対応するような、拡張された作用素のクラスを定めたが、そのクラスの作用素の幾何的な性質を考察した。一方、強位相がMontel的ではない例として、反射的バナッハ空間に値をとる有界型超函数に対する作用素および方程式も考察した。 これらの研究について、ベクトル値の積分変換などに関する文献等を参照するとともに、連携研究者の石村氏や研究協力者のLiess氏をはじめとして各地の専門家と連絡を取り意見を求め、さらに京都やポズナンでの研究集会等に参加し、これまでに得られた成果の発表や、参加者との研究連絡を行なった。
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