研究課題/領域番号 |
22540180
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀一 金沢大学, 数物科学系, 教授 (90159905)
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研究分担者 |
矢ヶ崎 一幸 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40200472)
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キーワード | 超可積分系 / ハミルトン系 / 特異点 / バーコフ標準形 / 作用-角変数 |
研究概要 |
本研究の目的は,超可積分系を定義する第一積分のつくる写像の特異点近傍における解の挙動を追求すること、ならびにそこで得た特異点における標準形を基礎にして摂動問題を追求することにある。その観点から本年度は前年度に引き続き、超可積分ハミルトン系の一般の特異点近傍における標準形について、摂動問題への応用をめざした研究を行った。 この問題については、自由度dの実解析的なハミルトン系のk(<d)次元不変トーラスがいくつかの条件を満たすときに、その不変トーラスの近傍における解析的ハミルトニアンに対する標準形を求めたのが昨年度の研究であった。ここで課される条件は力学系的観点にもとづくものであり、その中心となるのは「不変トーラスの共鳴度=(独立な第一積分の個数)-自由度」という条件であるが、それ以外にもいくつかの技術的な条件が必要であった。今年度の研究ではそれらの条件について検討を加え、見やすい形にまとめることを行った。これらの条件はZungらによる幾何的な条件と比較すると、より初等的な条件になっており、得られた標準形ハミルトニアンは作用一角変数とバーコフ座標のみに依存する関数であり、第一積分の個数が増えるにつれて、ハミルトニアンがより退化していく様子が明白になっている。なお、オイラーのコマの場合はこれらの条件が成り立ち、ここでの成果が応用できることも示した。また、ここで得た標準形をもとにして不変トーラスの摂動問題を研究するための準備的考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成22年度に開始し,すでに結果を得ている研究について,その成果のまとめ(論文投稿)が完了していないことが主たる理由であり,また,摂動問題に対する研究については困難な点があり,まだ結果が得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年度,23年度で得た成果を2編の論文としてまとめ,投稿することをめざす。超可積分ハミルトン系の一般特異点における標準形については、すでに大方まとまっているので、できるだけ早期に投稿をめざす。それが終わり次第,超可積分ベクトル場の平衡点近傍における標準化問題について平成22年度の研究で得た結果を論文にまとめる作業にとりかかる。それらの執筆とともに,平成23年度に考察した摂動問題への応用の糸口を,研究分担者ならびに連携研究者とともに考察を進めることで発展させたい。
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