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2012 年度 実績報告書

偏微分方程式論における解の一意接続問題と複素位相法

研究課題

研究課題/領域番号 22540185
研究機関京都大学

研究代表者

大鍛治 隆司  京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20160426)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2015-03-31
キーワード強一意接続性 / ディラック作用素 / コーシ-問題 / 解析接続
研究概要

研究代表者大鍛治隆司は、2段階式Carleman評価法を用いて熱型方程式に対する解の強一意接続性に関する研究を行い、ポテンシャルの特異性が臨界型である場合に得られた結果をまとめこれを22ページの論文として発表した。また、逆問題の分野における重み付き不等式に関してその背景・役割を再検討し、RIMS共同研究「逆問題への応用を意図した解析学の研究」(2012年7月25日~ 7月27日)において「2段式Carleman評価法I,II,III」として3回のサーベイ講演を行った。
また、新たに量子化学に関連した多体粒子に関するDirac作用素に関して基本的考察をHubert Kalf氏、山田修宣氏と共同で開始した。対象とするのはDezezinski氏が2012年初頭に数理物理学誌(IAMP News Bulletin)に紹介したある重要な未解決のスペクトル問題である。そのためまず最初に電子が2つある場合のクーロン型ポテンシャルを持つDirac-Coulomb作用素について考察し、その作用素のテンソル空間上の詳細な構造を明らかにした。次にこの結果を用いて、その作用素のスペクトルに関する諸性質(本質的自己共役性、本質的スペクトル、固有値の非存在)について詳細な分析を行い、先に触れたDerezinski氏の問題に対してその部分的解答を与えた。
さらに、濱田雄策氏(京都工芸繊維大学)と竹井義次氏(京都大学数理解析研究所)との共同研究において、整函数を係数を持つ偏微分方程式のCauchy問題に対する解の解析接続について考察を行い、Pathの変形理論における新しい方法を確立すると共に、それを用いて多重度が変化する特性面を持つ方程式に対して、解の大域的特異性の完全な構造を初めて明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2段階式カルレマン評価法を適用して臨界特異放物型作用素に対する解の強一意接続問題を解明すると共に、逆問題における方程式の予備的考察を行った。また、新たに多粒子系であるディラック・クーロン作用素についての先駆的な研究も開始し、その作用素に対する未解決のスペクトル問題についてのある基礎的で重要な解答を与える事が出来た。

今後の研究の推進方策

種々の偏微分方程式の解に対する一意接続問題並びに関連するスペクトル問題や逆問題について複素位相法の観点から再検討し、多体粒子系を含む従来の方法では捉えきれない作用素に対して有効なカルレマン評価法の開発推進に取り組む。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A note on unique continuation for parabolic operators2013

    • 著者名/発表者名
      Takashi Okaji
    • 雑誌名

      Studies in Phase Space Analysis with Applications to PDEs, Progr.Nonlinear Diff. Eq. Appl.,

      巻: 84 ページ: 311--332

    • 査読あり
  • [学会発表] 2段階式Carleman評価法I,II,III2012

    • 著者名/発表者名
      大鍛治隆司
    • 学会等名
      逆問題への応用を意図した解析学の研究
    • 発表場所
      数理解析研究所
    • 年月日
      20120725-20120727
    • 招待講演
  • [学会発表] Spectral problems about many-body Dirac operators

    • 著者名/発表者名
      大鍛治隆司
    • 学会等名
      スペクトル・散乱理論とその周辺
    • 発表場所
      数理解析研究所
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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