研究課題/領域番号 |
22540189
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
岩塚 明 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (40184890)
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キーワード | 関数方程式論 / 関数解析学 / 数理物理 / スペクトル / 散乱理論 |
研究概要 |
アハラノフとボームによって理論的に予測されていたベクトル・ポテンシャルの実在(アハラノフ・ボーム効果)を物理的に外山彰らが実験によって確認したのは,リング内に閉じ込められたごく細い磁力線を用いてであった。この数学的モデルとしてリングに閉じ込められている磁場をもつシュレディンガー作用素を考えることが出来る。我々はその作用素において磁束を一定に保ったままでリングの太さを無限に細くするときに全空間で定義されたシュレディンガー作用素がノルム・レゾルベントの意味で全空間上でリングの収束先である円周にディリクレ境界条件をおいた作用素に収束することを2009年の論文で示すことができた。収束先の作用素は非常に特異な磁場をもつが対称性が高く単純な形であるため散乱の性質を具体的に求めることが期待される。2009年の結果においてはリングの内部のベクトル・ポテンシャルの形を具体的に与えていたが,ある程度一般の磁場の場合にも同じ作用素にノルム・レゾルベントの意味で収束することを示すことができた。またリングの外部領域でリング表面ではディリクレ境界条件をつけた作用素を考えた場合も同じことを示すことが出来た。また収束先の作用素の散乱理論について調べるための準備として,そのスペクトルについて調べた。そのスペクトルは非負の実数全体からなる区間であり絶対連続スペクトルのみから成ることを示し,全空間で定義される自由粒子のハミルトニアンであるシュレディンガー作用素との間の波動作用素の存在と完全性を示すことが出来た。現在ディラック作用素の場合にどうなるかの研究を始めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までに得られた結果を海外の研究集会で発表し,情報交換を行い今後の研究のヒントを得られた。現在ディラック作用の場合のスペクトル理論,レゾナンスに関する研究などの基礎的研究を進めつつあるところである。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた円周上に特異性をもちディリクレ境界条件を課した場合のシュレディンガー作用素のスペクトルの性質や,散乱理論的性質について論文執筆を完成する。また,この結果をディリクレ条件以外の場合に拡張する研究を進めるとともに,ディラック作用素や定数磁場をもつ場合などにどのような性質が得られるかを研究する。
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