研究概要 |
初年度にあたる本年度は,基礎理論を整備すること重きを置いた。実施計画に沿って,研究代表者が単独にまたは研究協力者や連携研究者の支援を受けながら研究を進め,多くの成果が得られた。 1.ハミルトン系を内包する3次元非線形微分方程式系 1-1基礎理論の整備 3次元非線形微分方程式系の零解が一様安定かつ漸近安定になるための条件を解明した。結果を得るためには,解軌道の漸近的挙動を詳しく解析することが必要であった。特別な場合として,線形微分方程式系では従来からよく知らせている判定法(the Routh-Hurwitz criterion)との比較を行うとともに,得られた結果の長所について議論した(Nonlinear Anal.2011)。 1-2生態学への応用 得られた成果を生態系モデルの現象解析に応用した(Proc.Amer.Math.Soc.掲載決定)。 2.周期係数をもつ線形微分方程式系 2-1基礎理論の整備 変数係数をもつ2次元線形微分方程式系の零解の一様漸近安定性を保証する条件や,準線形微分方程式系の零解の漸近安定性を保証する条件を導出した(Proc.Amer.Math.Soc.2010;Ann.Mat.Pura Appl.掲載決定)。これらの成果は制御理論など他分野との関係が深く,広い応用が期待できる。 3.半分線形微分方程式系 3-1基礎理論の整備 2次元半分線形微分方程式系の零解が一様漸近安定や大域的漸近安定になるための条件を得た(J.Math.Anal.Appl.2010;Proc.Royal Soc.Edinburgh掲載決定;Monatsh.Math.掲載決定)。
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