ソボレフ関数とは微分がルベーグの可積分関数であるものをいう。このような関数は一般には連続と限らないが,何らかの良い性質をもつことが期待される。例えば,ルベーグ点の理論のように,積分に関する連続性が示されるディリクレ問題と関連して,ソボレフ関数が定義されている領域の境界付近での連続性は特に興味深い。これまでの研究では主に微分がルベーグの Lp 関数族に含まれる場合について精力的に行われてきた。ここで, Hedberg 氏によって,極大関数が定める作用素がきわめて有効な道具であることが示されてから,ソボレフの埋蔵定理などの重要な定理が初等的な方法で証明できるようになった。 本研究の目的は,変動指数をもつ関数空間において,極大関数の有界性を示すとともに,ソボレフの埋蔵定理などの重要な理論を展開することにある。本年度の研究において,ルベーグの Lp 空間よりさらに一般な Musielak-Orlicz-Morrey 空間においても Hedberg の方法を適用することにより,Diening 氏の理論が成立することを示した。また,リースポテンシャルに対する Gagliardo-Nirenberg の不等式を一般化するとともに,Herz-Morrey 空間の双対性を示すことができた。これからの研究において,これらの議論をさらに発展させることが求められる。 研究分担者である大野は,変動指数をもつ関数空間におけるソボレフ型定理に関する研究を分担した。
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