研究分担者 |
柴 雅和 広島大学, 大学院・工学研究科, 名誉教授 (70025469)
山田 陽 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60126331)
柳原 宏 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30200538)
幡谷 泰史 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20294621)
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研究概要 |
Rを種数正のリーマン面とする。R上に交点数1の単純閉曲線a,bの組x={a,b}を選ぶ。組xはRの把手を表していると考えられる。(R,Z)を印付きリーマン面という。種数1の印付き開リーマン面(S,η)を任意に固定する。等角写像f:R→Sが,ηの曲線をZの対応する曲線と自由にホモトピックな曲線に写すとき,fは(S,η)から(R,x)への等角写像という。このとき,(R,Z)は(S,η)を埋め込ませるだけの十分な大きさがあると考えられる。その大きさを印付き穴あきトーラスを用いて測る。つまり,そのような(R,x)すべてに埋め込まれる印付き穴あきトーラス全体の集合Mを考える。すると,集合Mには最大元がただ一つ存在することを既に見出していた。これは,ケーベの四分の一定理の類似である。同じ問題を印なしで考察することもできる。つまり,Sを等角に埋め込ませるRには必ず等角に埋め込まれる穴あきトーラスの全体Nを考えるのである。すると,印を指定した場合とは対照的に,Nには必ずしも最大元が存在しないことが判明した。実際,Sが位相的に有限である場合,Nが最大元を持つための必要十分条件はSがトーラスから有限個の点を除いたリーマン面に等角同値であることを示した。印を込めて考えることが単に技術的なことではないことを示唆してて大変興味深い。この他に,柴は幡谷と共同で計量空間上の非圧縮粘性流体の定式化と特殊解の構成を研究した。また,柳原は,単位開円板上のある正則関数族について,その歪曲度や増大度を評価した。さらに,山田は,再生核の理論を応用して,ヒルベルト空間に関するダグラスの分解定理やパロットの定理を拡張した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初の想定を超えた幅広い成果が続々と得られており,新たな研究の方向も視野に入ってきている。従って区分(1)を選びたいところであるが,まだ口頭発表の段階に止まり,論文を投稿する段階に至っていないので,区分(2)とする。
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今後の研究の推進方策 |
計画に沿って研究を進めていくが,これまでの成果を論文としてまとめることを優先課題とする。また,今年度の口頭発表は国内に限られていたが,研究計画調書にも記載したように,平成24年度はギリシャで開催される国際会議で「Nonlinear problems on Riemann surfaces(リーマン面上の非線型問題)」と題する分科会を主宰する予定である。これは研究の今後の進展に大きく資することと期待している。
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