研究課題/領域番号 |
22540198
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
門脇 光輝 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70300548)
|
研究分担者 |
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 助教 (90260851)
中澤 秀夫 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (80383371)
渡辺 道之 新潟大学, 人文社会教育科学系, 准教授 (90374181)
|
キーワード | 半空間弾性波 / P波とS波 / レゾルベント / 散乱振幅 |
研究概要 |
1.3次元自由境界半空間における弾性波に対するレゾルベントの剰余項評価について 3次元自由境界半空間における弾性波のレゾルベントの漸近形に関して、Pモード、SVモード、SVOモード、SHモード、Rモードに対すう剰余項の評価を得た。評価は基本的に初等的な方法(部分積分)で行われたが、Pモード、SVモードおよびSVOモードについては、半空間における弾性波特有の屈折波的な反射波が存在するために、ひと工夫を要した。具体的にはPモードならばP波入射に対して反射P波と反射S波が現れ、SVモードおよびSVOモードならばS波入射に対して反射S波と反射P波が現れる。この際の反射S波と反射P波が屈折波的な振る舞いをする。数学的には、これらに対する一般化された固有関数のフェーズにルートスクエアがあるために、直接的な部分積分の方法では、部分積分の回数に応じた特異性が現れる。そのために、変数変換や良く知られた積分の漸近展開公式などを用いた評価・工夫を行った。以上より、フルモードのレゾルベントに関する剰余項の評価を得ることができた。 2.3次元摂動半空間音響波に対する散乱振幅の導出について 3次元半空間弾性波動方程式に対するスペクトル密度関数の漸近形の証明において、上で述べた屈折波的反射波に対する扱いに計画当初に予想していなかった困難が生じた。そのために3次元半空間弾性波に対して立てた研究計画を弾性波に比べて単純な伝播構造をもつ3次元半空間音響波に変更して行った。結果、実施計画で述べた漸近形を用いた散乱振幅(物理的散乱振幅)の導出がなされた。そして、これは時間に依存した方法から導出された散乱振幅と本質的に同等であることが確認できた(このことにより研究方針が概ね正しいことが立証できた)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
スペクトル密度関数の漸近形に関して、屈折波的反射波に対する証明に不十分な個所が発見された。原因は上記で述べた固有関数のフェーズのルートスクエアに起因する。昨年度はその証明・修正に取り組んだが、部分的な証明を与えるに留まった。方法論的には定常位相の方法の更なる改良を必要とする。このこともあり、実施計画で述べたヘルムホルツ方程式の解の特徴付けや散乱振幅の導出などに着手するに至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、問題解決の本質は屈折波的反射波、もしくは屈折波そのものの扱いにあることが判明した。このため、研究の進展によっては、屈折波が現れる波動伝播の中で最もシンプルなモデルである二層媒質中の音響波に対して研究計画の実行を試みる。このことによって屈折波の解析方法を開発して、それを以って3次元自由境界半空間における弾性波に取り組む。
|