研究課題/領域番号 |
22540207
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
立川 篤 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50188257)
|
キーワード | 変分問題 / 偏微分方程式 / 調和写像 / 正則性 / p(x)-growth |
研究概要 |
変分問題と関連した非線形偏微分方程式の解の正則性に関して、本年度も引き続きFinsler多様体への調和写像の正則性とvanishing mean oscillationと呼ばれるクラスの係数を持つp(x)-調和写像の正則性について研究を行った。Finsler多様体への調和写像については、Riemann多様体への調和写像の研究において1982年に発表されたGiaquinta-Giustiによるone-sided条件に対応する条件と、さらに強い構造的な条件を課すことにより、前記のGiaquinta-Giustiの結果に対応するヘルダー正則性に関する結果を昨年度中にほぼ得ていたが、今年度これを論文として投稿し、受理された。一方、定義域側の多様体が2次元である場合については前記のような強い条件を課すこと無く正則性を得られた。論文としてまとめ、現在投稿中である。また、VM0クラスの係数を持つp(x)-調和写像の問題については、数年前よりCatania大・M.A.Ragusa准教授と行っている共同研究が実を結び、あらたな「量」を導入することにより、p-調和写像(pは定数)の部分正則性に対するGiaquinta-Modicaによる1986年の結果に対応する結果を得る事ができた。これによりp(x)-growthを持つ汎関数の研究において、予想されていながら未解決であった重要な結果の1つを得ることができた。この結果は論文として投稿し、受理された。また、これらとは別に変分問題の解の偏導関数のヘルダー連続性に関するRagusaとの共著論文が1編Discrete Contin.Dyn.Syst.Ser.Aに掲載された(次ページ「雑誌論文」参照)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り平成23年度はp(x)-growthを持つ汎関数のminimizerに対する新たな結果を,M.A.Ragusa氏との共同研究により、得ることが出来た。こちらの問題に関しては新たな重要な知見を得ることが出来、当初の予定を超えての発展が期待できる。一方、Finsler多様体への調和写像の研究は、予定通りの結果を得て、論文として投稿することが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
p(x)-growthの場合に関しては、新たな評価式を得るなど、順調に研究が進んでいる。また、当初は係数がVMOである場合を念頭において研究目標を設定していたが、連続係数の場合に対してさえ未解決であるより重要な問題に対するアプローチに重要な手がかりを得た。今後は、これらの問題に実足を移して研究を進めて行きたい。
|