研究概要 |
積分方程式,ボルテラ差分方程式およびボルテラ積分方程式を中心に研究を行い,以下に述べる研究成果を得た。 1. 村上は、線形積分方程式を扱い,解半群およびその生成素のスペクトルの特徴づけ,および本質的スペクトル半径に対する評価を導いた.、また,相空間における解の表現公式を確立した.さらに,生成素のスペクトルに付随して相空間を安定部分空間と不安定部分空間に直和分解し,解の表現公式の対応する分解を与え、積分方程式の定性的問題における無限次元解析に対する解明の糸口を見出した.この方向に関する結果を,研究集会「微分方程式の定性的理論ワークショップin岡山理大」(2011年1月22日~23日,岡山理科大学にて開催)にて発表した. 2. 村上は、Pham Huu Anh Ngoc(ベトナム、Vietnam National University HCMC, International University・准教授)との共同研究において、無限次元空間上で定義された積分微分方程式に対して,ある制限の下で、正値性の特徴づけ、正値方程式の安定性の特徴づけなど、有限次元方程式に対する結果の一般化を導き,数学雑誌European Journal of Mathematics, Vol. 8中で論文として公表した. 3. 村上は,松永秀章(大阪府立大学,准教授),長渕裕(岡山理科大学,教授)との共同研究で、ボルテラ差分方程式を扱い,形式的随伴理論の差分方程式版を確立し,解の漸近挙動の解析に応用した.その結果をプレプリントにまとめ,近々に公表を予定している.
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