研究概要 |
離散群の研究において離散性条件、離散群の例を見つけ出すことは重要である。2次元複素双曲空間に作用する等長変換群PU(1,2;C)の部分群のうち特に3つの複素鏡映写像により生成される複素双曲三角群をしらべた。実総局空間に作用する三角群についてはよく知られている。実双曲三角群は双曲三角形のつくる内角によりこの群は決定されるが複素双曲三角群の場合には内角だけでは三角群を決定することはできず自由度がある二つの「辺」の交角がπ/p,π/q,π/rとなる複素双曲三角形のそれぞれの「辺」複素鏡映写像から生成されるPU(1,2;C)の部分群を(p,q,r)型の複素双曲三角群と言う。(p,q,r)型の複素双曲三角群は(共役をのぞいて)1-パラメータの族をなすことが分かる。特別に決めた元の位数kを決めるごとにこのパラメータの値が一つ対応する。この群を(p,q,r;k)型の複素双曲三角群という。 特に(n,n,∞;k)型の群について詳しく研究した。PU(1,2;C)の楕円型の元に関するJorgensenの不等式の複素双曲版を作りそれを用いてnが22以上のときは全て離散的ではないことを示した。またConway-Jonesのディオファンタス方程式に関する結果を用いていくつかの群が離散的なことを示した。離散性を示すには代数的な方法と基本領域を構成する方法が考えられるが2次元複素双曲空間では「辺」に相当するものが非常に複雑なため組合せ的な方法により基本領域の候補をつくりそれが基本領域になることを示すことになるが今のところ特別な場合以外は良い方法が見つかっていないがいくつかの例については調べることができた。
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