研究概要 |
平成22年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1. AがC^nの線形変換でm(A)>0を満たすとき、A正規化されたレブナー微分方程式の標準解がsubordination chainであることを示した。 2. AがC^nの線形変換でm(A)>0を満たすとき、A正規化されたレブナー微分方程式の多項式有界である解の形を決定した。 3. 更に、Aにある条件を仮定すると、A正規化されたレブナー微分方程式の多項式有界である解がただ1つのA正規化された有界な解であることを示した。 4. LがC^nの線形変換でf(z, t)がレブナー微分方程式のA正規化された多項式有界な解であるとき、g(z, t)=L(f(z, t))が多項式有界であるための十分条件を与えた。 5. LがC^nの線形変換でf(z, t)がレブナー微分方程式のA正規化された有界な解であるとき、g(z, t)=L(f(z, t))が多項式有界である例や多項式有界でない例を与えた。 上記の結果は、近年のDuren, Graham, Hamada and Kohr(Mathematische Annalen,2010), Voda(Journal of Mathematical Analysis and Applications,2011)などの重要な論文を更に発展させたものであり、非常に意義があり重要な結果である。今後は、A正規化されていない、より一般的なレブナー微分方程式の解について研究したい。また、その解を応用して、単葉性や擬等角拡張性に関する新しい結果を得たい。
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