研究課題/領域番号 |
22540213
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
濱田 英隆 九州産業大学, 工学部, 教授 (30198808)
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キーワード | 両正則写像 / レブナー微分方程式 / 2点歪曲定理 / 線形不変族 / 拡張作用素 / レブナー鎖 / 国際情報交換 / ルーマニア:カナダ |
研究概要 |
平成23年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.単位円盤上の調和関数やユークリッド単位球上の多重調和写像からなるアフィン線形不変族に対する2点歪曲定理を証明した。特に、局所単葉である調和関数や多重調和写像が単葉であるための必要十分条件を証明した。 2.等質単位球上で、線形不変族について研究した。線形不変族のノルム位数と位数1/2の星型との関係に関する結果を得た。ある線形不変族の単葉半径を得た。更に、有限次元でノルム位数が有限のとき、線形不変族の正規性を示し、歪曲度と増大度の上界を得た。得られた結果は、古典的カルタン領域や多重円盤で成立する。 3.RoperとSuffridgeによる1995年の研究以降、さまざまな幾何学的性質を持つC^nの単位球上の正則写像を同様の性質を持つ低次元の写像を用いて構成する研究がなされてきた。そのような幾何学的性質の中には、凸、星型、螺旋型などが含まれる。幾何学的性質が保たれるということは、subordination chainsが保たれるということと関係がある。最近、Elinは半群を用いたバナッハ空間上の拡張作用素を導入した。本研究では、これまでの拡張作用素の多くをより一般化した新しい拡張作用素をElinの手法を用いて定義し、subordination chainsが保たれることを示した。 4.C^nのユークリッド単位球上の正規化された両正則写像全体のコンパクト部分族の端点と支持点について研究した。端点や支持点のレブナー変分がまた端点や支持点になることを証明した。また、端点や支持点が拡張作用素により、端点や支持点に写されることを証明した。 5.完備双曲的複素多様体上で成立する1複素変数及び多複素変数の新しい幾何学的なレブナー鎖の構成法を提案した。位数dのevolution族と同じ位数のレブナー鎖の間に本質的に1対1の対応があることを証明した。結果として、任意のレブナー偏微分方程式の単葉な解を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的のうち、以下の研究成果を得た。レブナー微分方程式の解についてユークリッド単位球上で、f(0,t)=0とは限らない場合に解の性質について研究成果を得た。次に、ユークリッド単位球上や多重円盤上で成立する線形不変族に対する増大度定理や歪曲定理を、有界対称領域上に拡張できた。その他、単位球上の正則写像や調和写像に関する研究成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
まず、f(0,t)=0の場合にただ1つの単葉な解をもつための条件について考察し、更に、全ての一般解を決定したい。その応用として、擬等角拡張性に関する新しい定理を証明したい。線形不変族に対する増大度定理や歪曲定理を有界対称領域上に拡張する研究も継続する。レブナー微分方程式の解についての研究については、無限次元空間に拡張する。その他、単位球上の正則写像や調和写像に関する研究を行う。
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