研究課題
平成24年度の研究実績の概要は以下の通りである。1. 単位円盤上の正則関数に対する Bohr の定理を、複素バナッハ空間の有界 balanced 領域から複素バナッハ空間内の等質単位球への正則写像に拡張した。Bohr の定理に現れる定数1/3が最良であることを示した。 2. 有限次元 JB*-triple X の単位球上の線形不変族に対する歪曲定理をトレース位数を用いて与えた。その評価式における指数は、原点におけるベルグマン計量によって定まる。また、次元が2以上のとき、最小のトレース位数を持ち、凸写像全体の族の部分族でない線形不変族の例を与えた。4つのタイプの古典的Cartan領域やそれらの有限個の積は、JB*-triple の単位球であるから、われわれが得た結果は、多くの有界対称等質領域で成立する。3. ユークリッド単位球 B 上で、正規化されていないsubordination chain に付随したレブナー微分方程式の単葉な解について研究した。B 上の正則写像の単葉条件や擬等角拡張条件に応用した。得られた結果は、よく知られたBeckerの1次元の結果を高次元に完全な形で拡張したものである。 4. 単位円盤上の古典的なLoewner chain と Loewner 微分方程式の理論が近年ユークリッド単位球上に拡張されてきているが、本研究では、更に、回帰的複素バナッハ空間の単位球上に拡張した。 また、回帰的複素バナッハ空間において、漸近的螺旋型写像と螺旋型パラメータ表現を持つ写像の関係について調べた。 5. Loewner chain がMuirタイプの修正されたRoper-Suffridge 拡張作用素により不変であることを証明した。境界点に関して星型である写像がMuirタイプの修正されたRoper-Suffridge 拡張作用素により不変であることを証明した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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