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2012 年度 実績報告書

量子状態の遷移確率とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 22540217
研究機関名古屋大学

研究代表者

山上 滋  名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (90175654)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード量子状態 / 遷移確率 / テンソル
研究概要

まず、CCR代数の自明でない平均を伴った自由状態の間の遷移確率公式については既に過去の実績として報告済みのところであるが、今回はこれの応用として、そのような状態間の表現の準同値性の判定条件をきわめて一般的な状況で与えることに成功した。以上の結果は、併せてIDAQP誌に掲載することができた。
また、時期を同じくして前年度に公表した松井卓氏との共著になる自由状態についての角谷二分律の論文がLMP誌へ掲載された。こちらは、CCR代数とCAR代数双方を扱ったのであるが、類似点と共に相違点も明らかにすることができたことは幸いであった。CCR 代数の場合は、退化して可換な部分を含む場合も含めて二分律が完全に成り立つのであるが、CAR の場合は、I型因子環の場合に例外的な取り扱いの必要が生じ、それを排除した形のものとなっている。なお、CCR代数においては、なおまだ、自明でない平均を伴った場合への拡張が残されており、その二分律の確立に向けての準備的な考察まで行うことができたものの、最終結果には至っていない。
さらに、こちらはテンソル圏についてのものであるが、最近注目を集めている Jones の planar algebra と C*テンソル圏との関係を、多重圏の線型表現を仲立ちとして明らかにした論文を arXiv:1207.1923 として公開することができた。
具体的には、planar diagram の作る多重圏の線型表現として planar algebra を記述する一方、このような多重圏と生成元を伴ったモノイダル圏との間の同値性を確立することで、planar algebra と単生成テンソル圏が同等の情報を有することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自由状態の遷移確率の応用としての状態に付随した表現の同値性および角谷二分律に関する計画で予定していた内容がほぼ達成されたことによる。また、未達の部分はテンソル圏への応用で、これについては時間的余裕があれば行うという計画であったため。

今後の研究の推進方策

前年度の積み残し課題である、CCR代数上の平均を伴った自由状態に関する二分律を完成すると。
これについては、可換部分と非可換部分へ分離して処理する方法が既に確立しているので、その路線に沿って行う。
さらに、次の研究課題としてのテンソル圏への応用への手がかりを得ること。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Geometry of coherent states of CCR algebras2012

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Yamagami
    • 雑誌名

      Infin.Dimens.Anal.Quantum Probab.Relat.Top.

      巻: 15, 12500009 ページ: 9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Kakutani Dichotomy on Free States2012

    • 著者名/発表者名
      Taku Matsui
    • 雑誌名

      Lett.Math.Phys.

      巻: 102 ページ: 285--295

    • 査読あり
  • [備考] SSS on Mathematics

    • URL

      http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~yamagami/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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