研究概要 |
非双曲的力学系の研究の最も重要なテーマは,ホモクリニック接触とヘテロ次元サイクルである.というのは,力学系の双曲性に関する予想で『双曲的でない任意の微分同相写像はホモクリニック接触かヘテロ次元サイクルをもつものでC^r近似される(Palis予想)』というものがある.この予想が正しければ非双曲的力学系の研究は,ホモクリニック接触かヘテロ次元サイクルをもつ写像族を中心に行うべきあるし,たとえそうでなくても,これら以外の非双曲的現象は見つかっていない現状を踏まえれば,全貌が未だ分からないこれらの現象を研究することは意義のあることである.本研究の目的は,この2つの非双曲的な現象を同時に含むような最もクリティカルな状態,すなわちヘテロ次元接触に関する分岐を明らかにすることである.具体的にはこの分岐のC2ロバスト性やストレンジアトラクタの発生やNewhouse現象について明らかにする.この目的に沿って研究を進め,研究実績として次の2つの論文にまとめ出版した. [1]Coexistence of homoclinic sets with and without SRB measures in Henon family (collaboration with M.-C. Liand T. Soma), Nonlinearity 23-9 (2010) 2253-2269 [2]Heterodimensional tangencies on cycles leading to strange attractors (collaboration with Y. Nishizawa & T. Soma),Discrete Contin. Dyn. Syst. 27-1 (2010) 285-300
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