研究概要 |
1)パンルヴェ空間をより高次元の世界から見るために、昨年度来の2次元ガルニエおよびその退化系に加え、4次元パンルヴェ型方程式21,21,111,111に対して、その超越的な特殊解の研究をおこなった。本研究では、坂井によるフックス型方程式のモノドロミ保存変形から導かれたハミルトン系を解いて特殊解を求め、そのいくつかについて対応する線型方程式のモノドロミを具体的に計算した。第6パンルヴェ型方程式では原点の近傍に4個の有理型解をみつけたが、4次元パンルヴェ型方程式では6個の正則解の他に極をもつ2パラメータ解が可算無限個存在することを見つけた。この内容については日本数学会(平成23-9-30信州大及び24-3-28東京理科大)にて発表した。 2)2次元ガルニエおよびその退化系G(11111),G(1112),G(5)についての研究成果を23-3-17熊本大にて発表した。またG(5)に対する対称解についての論文が日本学士院紀要に掲載された。 3)Mathematische Nachrichtenに投稿中の論文 Meromorphic Painlev'e transcendents at a fixed singularityに対し「発行する」との通知を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
4次元パンルヴェ型方程式21,21,111,111(藤、鈴木系)に加え、同じく第6パンルヴェ型方程式の拡張とされる31,22,22,1111(笹野系)に対しても特異点近傍における有理型解の分類を行うことによりその違いを明らかにする。これにより第6パンルヴェ型方程式では見えなかった新しい発見があると期待している。
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