銀河は合体を繰り返し成長してきたことは良く知られている。同様にして、合体銀河の中で超巨大ブラックホール同士が合体に向かうとすれば、その間にバイナリーブラックホールを形成するであろう。しかし、バイナリーブラックホールはこれまで同定されていない。過去の研究で、バイナリーブラックホールとそれを取り囲む外周ガス円盤の相互作用によって周期的的な変動が見られることが分かっている。いずれの研究も軌道面と外周円盤面が同一平面にある系を対象にしてきた。そこで、今回は軌道面と外周円盤面が傾斜している系を考え、ブラックホールとガスの相互作用の結果、どのような放射光を示すのかを三次元Smoothed Particle Hydrodynamics法を用いて研究した。その結果、軌道面に対して傾斜している外周円盤面の円軌道バイナリーブラックホール一軌道周期当たりに二つのピークを示すことが分かった。 超巨大ブラックホールの起源である種ブラックホールの質量は、星質量~中間質量であると考えられているが、種から超巨大ブラックホールに至るまでの過程はほとんど分かっていない。そこで、星質量~中間質量ブラックホール同士の合体過程を周囲のガスとの相互作用に着目して行った。その結果、バイナリーから外周円盤への角運動量輸送を通してバイナリーから放射される重力波の位相にずれが生じることが分かった。 周囲の星が落ち込むことによってもブラックホールは成長する。星がブラックホールに近づくと潮汐破壊を起こすが、壊れた星がどのようにブラックホールへと落ち込むかは良く分かっていない。そこで、潮汐破壊の三次元数値シミュレーションを実行した結果、壊れた星は引き伸ばされてブラックホールを周回し、さらに一般相対論的効果によって軌道交差することが分かった。その時、衝撃波によって壊れた星の束縛エネルギーが散逸し降着円盤が形成されることが分かった。
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