研究課題
最も近い系外銀河である大マゼラン雲に着目し、星間ガスの諸相、分子・原子・イオンの空間分布・物理学的性質を観測的に克明に調べることを目的とし、本研究を遂行した。特に、最新の赤外線データから、星間ダストの性質や若い進化段階にある星についての情報を取得し、ひとつの銀河にわたる星間物質の進化と星形成についての理解を深めることを特徴としている。今年度は、NANTEN2によるミリ波観測研究の推進に向けて、名古屋大学、大阪府立大学および国立天文台の研究協力者とともに、NANTEN2に100GHz帯受信機システムを搭載し、試験や議論に参加し、最も活発な星団形成領域N159方向の分子雲高感度探査を行い(現地作業は主に名古屋大学スタッフおよび大学院生)、スーパージャイアントシェルLMC4とLMC5に付随する、星団形成領域について、Mopra望遠鏡による13CO(1-0)輝線観測、ASTEによる12CO(3-2)のデータ解析を進め、星形成活動と、一酸化炭素同位体強度比、多遷移輝線強度比の分布を調べた。さらに、ハーシェルおよびプランク望遠鏡による星間ダスト、若い進化段階にある星の調査、100―500ミクロンの遠赤外線全面探査の観測およびデータ処理を進めた。プランクによるデータから、大マゼラン雲には、現在観測されている水素原子ガス(HI)と、一酸化炭素からみつもられる水素分子ガスの量では、説明できない、「ダークガス」が無視できない質量で存在していることが明らかになった。同方向についてはMopra望遠鏡で、より高分解能でパイロットサーベイを行い、コンパクトな分子ガスが点在し、巨大分子雲とは異なるCO-水素分子柱密度比である可能性を示した。これらの結果を統合し、研究協力者とともに、平成25年度以降実行のアタカマミリ波サブミリ波大型干渉計計画(ALMA計画)への観測を提案し採択された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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