研究課題/領域番号 |
22540251
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
福江 純 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80173326)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ブラックホール / 降着円盤 / 宇宙ジェット / X線連星 / 活動銀河 / ガンマ線バースト / 相対論的輻射輸送 / 輻射流体力学 |
研究概要 |
大量のガスがブラックホールに落ち込むと、ガスはブラックホールの近傍できわめて高温になり、光り輝くようになる。そして光の放射圧によってガスの多くは吹き飛ばされる。本研究では、ブラックホール周辺から光速近くの速度で吹き出す高温のガス流-ここでは「ブラックホール風」と呼ぶ-の形成や観測的特徴について調べる。 ブラックホール風が光学的に厚い場合、光り輝く光球面(実際に観測される表面)がどこに位置するかは、単純ではなくなる。とくにガスの流速が光速近くになると、相対論的効果を考慮して決めなければならない。われわれのグループでは、そのような球対称ブラックホール風のスペクトルなどを調べてきたが、今年度の研究では、とくに輻射輸送的観点から調べた。また、合わせて、新星風は中性子星風などについても調べた。 単純な等温大気での散乱を考えると、スペクトルの高振動数領域で大きく黒体輻射からずれる。しかし、ブラックホール風などでは一般に内部ほど温度が高い。そのような場合には、温度の高い内部から光子が散乱されて、見かけ上の光球である最終散乱面まで到達するので、温度の高い光子も十分に存在し、見かけの上では黒体輻射に近いスペクトルが得られるという意外な結果が得られた。 新星風や中性子星風については、現在も計算中だが、類似の結果が得られる見込みである。これが事実ならば、従来の観測結果に対する物理的な解釈を大きく再検討する必要が出てくるだろう。 さらにブラックホール風のモデル構築については、エディントン近似を用いた、球対称輻射流体力学風について、まず非相対論の場合のモデルを計算した。拡散近似を用いると特異点が結節点タイプになり、拡散近似が物理的な因果律を満たさないことと合わせて具合が悪い。一方、エディントン近似の場合は、特異点は鞍点型となって、問題が改良されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画的に研究を進めてきたので、おおむね予定通りの進展をみた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までは主に灰色近似のもとで計算しているので、今後は、振動数に分解したスペクトルの計算を行う予定である。すなわち、各振動数ごとに、最終散乱面および熱化深度を計算して、角振動数ごとの強度を求めて、全体のスペクトルとしたい。 また新星風は中性子星風についても同様の計算を行い、観測と対照させたい。 さらにブラックホール風の形成については、現在、非相対論の場合の論文をまとめている最中で、引き続き、相対論的な場合の計算へ進むつもりである。
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