研究課題
大量のガスがブラックホールに落ち込むと、ガスはブラックホールの近傍できわめて高温になり、光り輝くようになる。そして光の放射圧によってガスの多くは吹き飛ばされる。本研究では、ブラックホール周辺から光速近くの速度で吹き出す高温のガス流-ここでは「ブラックホール風」と呼ぶ-の形成や観測的特徴について調べる。ブラックホール風が光学的に厚い場合、光り輝く光球面(実際に観測される表面)がどこに位置するかは、単純ではなくなる。とくにガスの流速が光速近くになると、相対論的効果を考慮して決めなければならない。われわれのグループでは、そのような球対称ブラックホール風のスペクトルなどを調べてきたが、従来は振動数依存性を考慮せず灰色近似で扱ってきたものを、今年度の研究では、振動数依存性まで考慮して扱うことに成功した。その結果、高振動数では従来のように散乱が強く効いて、見かけの光球(最終散乱面)と熱化面が大きく乖離するが、低振動数では吸収が主で散乱領域が狭いことが判明した。またブラックホール風との関連で、光輝くブラックホール(降着円盤)周辺環境でのガス体における相対論的輻射輸送の解析も進めた。まずガス雲が静止している場合について、ガス雲内部での輻射輸送やスペクトルなどについては解析を終えた。現在は、ガス雲が相対論的運動をしている場合の解析を続けている。さらにガス雲の輻射圧駆動についても研究を実施した。従来の研究では、輻射圧と輻射抵抗が釣り合った状態で0.45c程度の終端速度(マジックスピード)に到達することが知られていたが、従来は透明なプラズマを想定していた。今回は光学的に厚さをもつガス雲について解析して、終端速度に対する新しい結果などを得た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~fukue/