アンドロメダ銀河にあらわれた周期1年の回帰新星は回帰周期が最短であるだけでなく、減光やX線の出現も非常に速い。この天体は新星風理論の極限への挑戦でもある。そこでまず新星の回帰周期を新たに求めなおすことにした。斉尾氏の数値計算と新星風理論を組み合わせ、理論上の最短回帰周期を求めた(白色矮星の質量により違う)。この天体はH25年秋に再び爆発し、前年よりさらに詳しい光度曲線が可視光、紫外線、X線で求められた。この解析結果は共著論文として投稿中である。 新星爆発の光は、自由自由遷移による輻射が優位であり、光度曲線は新星風理論で求められる質量放出率や光球半径で決まる。典型的な古典新星は自由自由遷移だけで光度曲線が説明できる。ただし、やや遅めの新星(白色矮星質量が小さめの場合)は少しずれる。この原因を説明するため、蜂巣氏との共同研究で詳しい解析を行い、遅い新星では、光球面からの黒体輻射の寄与が無視できないことを示した。これまでの研究と総合すると、新星爆発の光は自由自由遷移からの輻射が主でそれに黒体輻射が一定寄与しており、その割合は白色矮星の質量と波長によることがわかった。これで新星爆発の輻射機構について総合的な理解が得られたと考えている。
|