研究課題
恒星の集団である銀河や銀河の集団である銀河団において、どのように星や天体が形成されたかを知ることが、天文学の目的の一つである。我々は、宇宙の高温ガスに含まれる重元素の量を手がかりに、過去の星の形成史を探ってきた。銀河団は数千万度の高温ガスで満たされ、銀河から放出された大量の重元素を含んでいる。我々は、ヨーロッパのX線天文衛星XMM-Newtonの観測データから、銀河団ガスに含まれる鉄の分布を調べた。鉄は、過去に形成され死んでしまった大質量星からも、小質量星の最期である白色矮星が爆発したときにも、合成される。我々は鉄の分布から、銀河団形成前、宇宙初期に大量の重元素が合成されたことを突き止めた。つまり、宇宙の初期に大量の星が形成されたことになる。我々は小規模な銀河集団である銀河群の高温ガスの重元素の量が銀河団に比べ少ないことも発見した。この結果も宇宙初期に大量の星が形成されたことを示唆するものである。銀河にも星から放出されたガスが高温になり、X線を放射している。このガスの重元素量もまた、銀河の星形成史を反映する。我々は、今現在活発に星を形成している銀河から最近は星を形成していない銀河の高温ガスの重元素分布をも止めることができた。活発に星形成を起こしている銀河からは、最近形成された大質量星が寿命を迎え、超新星爆発をおこし、重元素を銀河の外の空間にまで放出していることを確認した。星形成を終えた銀河でも、星形成の時間スケールが銀河によって異なることを発見した。
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Astronomy & Astrophysics
巻: 527 ページ: A134-146
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 62 ページ: 1445-1454
巻: 62 ページ: 1435-1443