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2010 年度 実績報告書

「あかり」スペクトルに基づく褐色矮星大気構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22540260
研究機関独立行政法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

山村 一誠  独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40322630)

キーワード褐色矮星 / 低温度星 / 大気構造 / 二酸化炭素 / 近赤外線 / 赤外線分光観測 / 「あかり」 / 分子組成
研究概要

本研究は、恒星と惑星の中間状態にある褐色矮星大気の物理的・化学的状態を、赤外線天文衛星「あかり」で得られた近赤外線分光観測データの解析と、大気モデルの構築・改良を通じて理解しようとしている。今年度は、観測データの整備と大気モデルの構築・改造を進める計画としていた。
「あかり」は2010年2月より観測を停止しており、新しいデータは得られていないが、データ処理ソフトウェアの改良に応じてこれまで得られたデータを再処理し、質の向上を図った。
「あかり」の液体ヘリウム冷却期間である2007年8月までに得られた6天体の観測データを、研究協力者である東京大学名誉教授辻隆氏の作成した褐色矮星大気モデルUCMを用いて解析し、「あかり」波長域での褐色矮星スペクトルの特徴とそれから得られる各天体の特性を考察した。これまで主に2μm以下の短波長での評価を元に開発されてきたUCMが、世界で初めて「あかり」で得られた2.5~5.0μmの連続したスペクトルもおおむねよく説明できることがわかった。一方、大気構造を理解する上で鍵になると考えていたCO, CO_2の吸収バンドについて、特に低温の褐色矮星では観測された強度をモデルで充分に再現できず、現在の我々の大気構造の理解が完全でないことも明らかになった。以上の初期的成果を、2010年10月発行のThe Astrophysical Journalにて発表した。その後も解析を続け、CO_2のバンド強度についてはUCMの金属量をパラメータとするモデルの改良により説明できるのではないかという仮説を提唱する論文を作成し、同じくThe Astrophysical Journal誌に掲載予定(来年度)である。
これと平行して、研究協力者の東大大学院生の空華智子氏により、CH_4バンドを手がかりに大気構造を理解しようとする解析が進められており、初期的成果を国際研究会にて発表した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] AKARI Observations of Brown Dwarfs.I.CO and CO_2 Bands in the Near Infrared Spectra2010

    • 著者名/発表者名
      山村一誠
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 722 ページ: 682-698

    • 査読あり
  • [学会発表] 「あかり」による褐色倭星の近赤外線分光観測VI.:CO_2分子存在量の元素組成依存性2011

    • 著者名/発表者名
      山村一誠
    • 学会等名
      日本天文学会2011年春季年会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2011-03-17
  • [学会発表] AKARI Observations of Brown Dwarfs2010

    • 著者名/発表者名
      山村一誠
    • 学会等名
      16th Cambridge Workshop on Cool Stars
    • 発表場所
      ワシントン大学(米国)
    • 年月日
      20100829-20100902
  • [学会発表] Analysis of CH4 Q-branch absorption in Brown Dwarf Spectra Observed by AKARI2010

    • 著者名/発表者名
      空華智子
    • 学会等名
      16th Cambridge Workshop on Cool Stars
    • 発表場所
      ワシントン大学(米国)
    • 年月日
      20100829-20100902

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公開日: 2012-07-19  

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