研究課題/領域番号 |
22540261
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河本 昇 北海道大学, 大学院・理学研究院, 特任教授 (50169778)
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キーワード | 格子超対称性 / 格子重力 / ワード・高橋恒等式 |
研究概要 |
本研究はランダム格子上で超対称ゲージ重力理論を定式化する事に有る。超対称性を格子上で全ての電荷に対して厳密に定式化する事は30数年来成功していない。これは二つの本質的な大きな困難:(1)カイラルフェルミオンのダブラーが現れる事によりボソンとフェルミオンの数が崩れて超対称性が壊れる問題、(2)差分がライプニッツ則を満たさない為に超対称性が壊れる問題、が有る為に成功していない。これに対して我々は以前に提唱したリンクアプローチと違う新たな定式化の提案に於いて、この二つの問題を解決する提案を行った:(1)フェルミオンダブラーを超対称パートナーとしての物理的粒子と同定する、(2)運動量空間で運動量保存則を格子上の運動量保存則に置きかえる。これにより座標空間では、普通の積が新たな*積に置き換わり、この積の上でライプニッツ則が成立する。これらの基本的アイデアに基づいて既に昨年度までに1次元の模型に於いて具体的に厳密な超対称性が格子上で成立する事が示され、具体的模型を提唱した。本年度はその定式化を2次元のベス・ズミノ模型へ拡張した定式化が完成した。更に我々は量子論的に超対称性が厳密に成立するかを調べ、ワード・高橋恒等式が格子上で2ループまでの摂動論で厳密に成立している事を確かめた。また1次元の模型に対してユークリッド化し数値計算によってワード・高橋恒等式が非摂動領域でも成立するかどうかを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
格子超対称性の35年来の問題には決着と付けた。現段階では1,2次元の模型に対して成功している。これを3,4次元に拡張する事、更にはゲージ理論に拡張する事は更なる発展が必要である。更に重力まで定式化の土俵に乗せる為には、我々の以前提唱した一般化されたゲージ理論との関連が必要であると考えられ、この部分は上記の定式化をディラック・ケーラーフェルミオンの定式化と関連させ更に発展させる必要が有る。
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今後の研究の推進方策 |
これまで1,2次元で成功している格子超対称性の定式化を3,4次元に拡張する。更に超対称ゲージ理論に拡張し、微分形式を用いた定式化との関連を明らかにし、重力を取り入れたランダム格子上への定式化への糸口を探る。
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