研究概要 |
微視的な核子間相互作用に基づき原子核構造の殻構造の全体像を理論的立場から解明すること,またそれを通じて宇宙核物理学に対して基礎データを提供することを目指し,以下の研究を行った。 1.半現実的有効相互作用を用いた球対称平均場計算によりCa,Ni等の中質量核の殻構造を調べ,テンソルカやパイ中間子交換中心力のため陽子数依存性や中性子数依存性が生じること,またそれらが構造変化の原因となることを明らかにした。同時に,この領域の不安定核の構造に対して予言を与えた。具体的には,^<68>Niと異なり^<60>CaにおいてN=40がsubmagic numberとしての性質を失うこと,^<78>Niの基底状態が二重閉殻という性質を保持すること,及びそれに関連して第1励起状態のエネルギーと遷移強度,また^<86>Ni周辺でN=58がsubmagic numberに近い性質を持つこと,またCaやNiにおける中性子drip線の位置について,等である。 2.多くの平均場計算で無視されてきた,クーロンカの原子核の対相関に与える影響を調べ,クーロンカの影響が無視できないことを確認した上で,それを繰り込む簡便な処方を提案した。 3.球形核を対象として,半現実的有効相互作用を用いた準粒子RPA計算のための定式化とプログラム開発を行った。 4.半現実的有効相互作用を用いた平均場及びRPA計算のための,OpenMPによるプログラムの並列化とそのテストを行った。
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