研究課題/領域番号 |
22540269
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 博章 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60262424)
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研究分担者 |
谷本 盛光 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90108366)
淺賀 岳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70419993)
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キーワード | 素粒子論 |
研究概要 |
前年度に引き続き、離散フレーバー対称性の選択に対してヒントを得るために、強結合超対称理論と双対関係にある非因子型の余剰次元模型を取り上げた。特に、超対称性がない場合に、電弱対称性の破れの精密測定からの制限を満たす模型の拡張やその場合のフレーバー構造などについて検討した。しかし、フレーバー対称性については、明確な情報を引き出すことができなかった。 超対称模型の文脈では、超対称性を破る強結合セクタが低エネルギーにある場合の有効理論として、超対称標準模型を非線形に拡張する模型を取り上げ、特にヒッグス粒子の質量への補正がどこまで大きくできるかを検討した。 一方、基礎物理学研究所研究会「標準模型を超えた素粒子理論へ向けて」に参加し、第三世代の超対称粒子が軽い模型の可能性について検討した。LHC実験の整理とそれを踏まえた超対称模型の展望について討論できたのは大変有意義であった。特に軽い第三世代超対称粒子を実現する可能性の一つとして、従来型のU(1)対称性の有効性を再認識できた。さらに、CFTセクタの束縛状態が、本計画が当初想定していた暗黒物質ではなく、第三世代のクォーク・レプトンである可能性は興味深く、詳細に検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、「超対称なフレーバー問題」に対してCFTセクタとの強結合相互作用による解決を目指しているが,このアプローチの特徴は第一・第二世代の超対称粒子が比較的軽い(かつ縮退する)ことである。一方、LHC実験の最新結果は少なくとも第一・第二世代の超対称粒子が重いことを示唆しており、本研究のアプローチはなんらか修正を迫られている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の現状を鑑み、超対称模型におけるフレーバー問題からいったん後退し、関連する課題である閾値補正(重い場の効果)の計算手法の一般化に研究の重点をシフトさせる。この問題に手がかりを得るため、最近提唱された可能性-軽い第三世代の超対称粒子をCFTセクタとの強結合相互作用によって実現する可能性-を詳細に検討する。 また、前年度に引き続いて、超対称性の破れのスケールが低い場合や超対称性の破れが複数共存する場合におけるヒッグス質量を検討する。
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