1.非可換対称群に基づくフレーバー対称性を持つ模型は、二つ以上(多くの場合三つ以上)のHiggs粒子の存在を予言している。このため中性のHiggs粒子で、摂動論最低次ですでにFCNC反応(粒子の電荷は変えないが、フレーバーの種類を変える反応)を起こすものが存在する。更に、小林・益川理論が予言するCPの破れ以外のCPの破れも可能になる。このような、FCNC反応やCPの破れは、原理的には様々な実験で観測可能できる。今年度は、有限群Q6に基づくフレーバー対称性を持つ超対称模型の枠組みで、BO中間子混合におけるCPの破れを計算した。超対称を破る項のCPの破れに対する量子補正が大きくなることを見いだした。このCPの破れは、TEVATRONで示唆されている大きさであり、LHCで検証可能であることが判明した。 2.超対称を破る項から寄与するCPの破れを抑える一つの方法は、CPを自発的に破ることである。今年度は、有限群Q6に基づくフレーバー対称性を持つ超対称模型の枠組みでヒッグスセクタを拡張すると、CPとフレーバー対称性を自発的に破ることができることを見いだした。さらに、この模型では、二つの異なった真空が存在することも分かり、各々について現象論的帰結を調べた。
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