研究課題/領域番号 |
22540271
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久保 治輔 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40211213)
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キーワード | フレーバー対称 / LHC / ニュトリノ質量 / 超対称性 / クォーク混合 |
研究概要 |
素粒子標準理論の持つ最大の問題の一つは、物質粒子のフレーバーの構造を決めている湯川相互作用を決定する原理が欠けていることである。更に、この理論は、場の理論としてtrivialな理論であるという理論的欠陥がある。当研究目的の要旨は、この二つの問題の一つ目は底エネルギーフレーバー対称性を導入することで、二つ目は超対称性を導入することによって、標準理論を拡張し、拡張した理論の現象論的帰結とその実験的検証可能性を調査することである。今年度は、有限群Q6に基づくフレーバー対称性を導入した超対称モデルにおいて、フレーバー対称性とCPの対称性が自発的に破に破る可能性を探り、その場合のFCNC反応やCPの破れを定量的に評価することを行なった。暗黒物質の質量と中性子の電気双極子モーメントが、B中間子によるCPの破れの大きさと密接に関連していることを見いだし、LHCbで検証可能であることを示した。また、暗黒物質とフレーバー対称性に関する研究においては、輻射補正によってニュートリノ質量を生成する超対称模型の枠組みで、最小標準超対称模型では現実的な暗黒物質が存在できるパラメータ領域は非常に狭いにもかかわらず、この模型ではその領域が大幅に広がるということを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は、1.「フレーバー対称性とCPの対称性の自発的破れについての研究」と2.「暗黒物質とフレーバー対称性に関する研究」について実施計画をたてたが、研究実績の概要にも記述したように、おおむね計画通りの研究が進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
フレーバー対称性がFCNC反応を抑制する機構に関する研究については、まとまった成果が得られているので、中間報告として、総合報告をすることを検討していく。また、暗黒物質の直接検出を行なう実験グループカ新しいデータ提供してくる可能性があるので、情報収集を強化する。
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