研究課題
平成22年度は、当初想定していなかった任務として、CTA (Cherenkov Telescope Array)計画のガンマ線バースト(GRB)のサイエンスワーキンググループのリーダーを務めることとなったため、雑誌論文や学会発表もGRBに関するものが多くの割合を占めることとなった。本研究課題の主要な研究対象天体である銀河や銀河団は、GRBと比較すると相違点も多いが、一方で銀河系外天体であることと、超高エネルギー物理過程が起きる環境であることは重要な共通点であり、GRBを中心とした研究であっても、本課題にとって非常に有意義な成果が得られた。例えば、GRBにおける超高エネルギー宇宙線加速とそれに伴うハドロン放射過程の研究を進め、場合によってはX線や可視光でその兆候が現われることを示したが、類似の過程が銀河団での超高エネルギー宇宙線加速においても起きる可能性があり、現在詳細に調べているところである。また、GRB起源高エネルギーガンマ線が銀河間空間を伝播中に吸収される割合の定量的な評価、およびその際生成される二次ガンマ線の観測可能性なども調べたが、同様の過程で銀河団周囲に生じるガンマ線ハローも大変興味深く、それを利用して銀河間空間の磁場を探れる可能性なども現在調査中である。さらには、CTA計画のガンマ線検出感度や様々な性能を熟知することができたため、将来のCTAによる銀河団観測の具体的検討に向けた足がかりにもなった。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 410 ページ: 2741-2748
巻: 411 ページ: 464-468
Astrophysical Journal
巻: 725 ページ: L121-L125