研究概要 |
今年度は,以下の3つの問題に取り組んだ, 1.厳密繰り込み群を使った普遍性の証明---本研究の目的は,厳密繰り込み群の定式化を使うことにより,QEDのaxial anomalyそのほかめ非繰り込み性を証明することである.そのためにもこの定式化の普遍性を理解することは重要である.厳密繰り込み群の定式化はカットオフ関数の選択に依存するが,物理現象は,その選択によらないはずで,ここでいう普遍性はそのことをさす.もっとも簡単な実スカラー場(3次元ユークリッド空間)の理論は,有名なWllson-Fisherの不動点を持つが,その臨界指数(特に場の異常次元)がカットオフ関数の選択によらないことを証明した.(正確に言うと,以前得られていた未発表の証明をさらに簡素化にすることに成功した,)成果は近く論文にまとめたい. 2.厳密繰り込み群を使った臨界指数の計算---実際に厳密繰り込み群を使って,臨界指数を計算する場合,どうしても近似が必要になる,その近似が上で証明された普遍性を破ってしまう。したがって近似計算で得られる臨界指数はカットオフ関数の選択に少なからず依存してしまう。ところが近似の精度をあげれば,依存性も小さくなることが期待される.通常使われる微分展開のかわりに,ループ展開による近似計算を行った,場と質量それぞれの異常次元を2次まで計算した,質量の異常次元については,実際に1次の計算より依存性が小さくなることを確認できた,(場の異常次元は1時ではゼロになるので,比較できない。)この成果も近く論文にまとめたい. 3.厳密繰り込み群を使ったQED axial anomalyの非繰り込み定理の証明--本研究で主な対象とするのは,QEDおよび超対称QEDにおける非繰り込み定理である.QEDにおけるaxial anomalyの非繰り込み性を考察した.axial anomalyの等式は,いくつかのcomposite operators(axialカレントや運動方程式のオペレータなど)の間の関係式だが,それぞれのcomposite operatorが明確に定義されていなければ,関係式に現れる係数は定まらない.composite operatorはBRST不変性によってある程度制限されるが,規格化の不定性を取り除くには,ゲージ固定パラメタへの独立性を要求しなければならない.composite operatorのゲージ固定パラメタへの依存性を表す式を模索しているが,解決にはもう少し時間がかかりそうである,
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