研究概要 |
本研究は厳密繰り込み群の定式化を使って、二つのタイプの非繰り込み定理を証明することを目的に行った.ひとつは,カイラルゲージ理論におけるゲージアノマリーの非繰り込みであり、もう一つは超対称ゲージ理論における運動項の非繰り込みである.その準備として、QEDにおけるaxial anomalyの非繰り込みに対するAdler-Bardeenの定理を厳密繰り込み群を使って証明することを始めたが、最終的には、これを成し遂げたところで時間切れとなってしまった.この研究で得られた成果は、2012年9月にAussois, Franceで開かれたExact Renormalization Group 2012で口頭発表した.論文は現在作成中である.この研究によって、U(1)ゲージ理論におけるゲージ不変なオペレータの概念を精密化し,オペレータがゲージ固定パラメターに依存しないための条件式を導いた.これはGreen関数に対するKhalatnikov-Landauの関係式を一般化する式である.この結果、axial anomalyをゲージ不変で、ゲージ固定パラメターに依存せず,かつ異常スケール次元のないオペレータの間の等式として定式化することを得た.これはAnthony Zeeによるaxial anomalyの「導出」を精密化するものである. 今回は、当初の目的は果たせなかったが、目的を果たすための取っ掛かりは得られたと考える.
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