• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

非平衡の場の理論を用いたレプトジェネシスとレプトン数の破れの研究

研究課題

研究課題/領域番号 22540283
研究機関広島大学

研究代表者

両角 卓也  広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20253049)

キーワード素粒子論 / 非平衡の場の理論 / シーソー模型 / レプトジェネシス / レプトン数
研究概要

本研究の目的は宇宙の物質生成の機構の有力な候補であるレプトジェネシスを非平衡の場の理論を用いて研究することにある。平成22年度の研究では非平衡系の時間発展を扱う量子ボルツマン方程式の研究を行った。粒子、反粒子の自由度を含むような2次元調和振動子の系を粒子数非保存現象の観点から研究した。
温度Tと化学ポテンシャルμが決まった初期密度行列から出発し、粒子数の期待値の時間発展を正準量子化と経路積分法の両方で計算した。その結果に基づいて、粒子数非保存の相互作用を導入することで粒子数の期待値がどのように時間変化するかを計算した。
研究した量子力学系は場の量子論では、複素スカラー場の理論にスカラー場の自乗で表される、場の位相変換に対して不変でない質量項を加えた模型に対応する。このような質量項はニュートリノのマヨラナ質量項に類似した相互作用である。この項があると粒子反粒子混合がおき、粒子数は保存しなくなる。本研究では初期状態が統計的な密度行列で与えられている場合を想定し、期待値としての平均粒子数がどのように変化するかを導出した。その結果、平均粒子数は粒子数を破る項を大きくすると短い周期で振動することが分かった。さらに振動の周期より十分長い時間で時間平均した粒子数期待値を求めると粒子数の破れが大きくなるとともに時間平均した粒子数期待値の大きさが減少する様子が明らかになった。
本研究で厳密に解ける模型を考察することにより、バリオン数やレプトン数が初期宇宙等で生成された後、対応する粒子数を破る相互作用がある場合、それらがどのように減衰するかが明らかになった。また、化学ポテンシャルがある場合、密度行列の座標表示での表現を求めることができた。
今後の展開として、現在研究している量子力学的な模型を場の量子論に拡張するとともに、初期粒子数を生成するメカニズムも含んだより現実的な模型の研究に進める計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Effects of large threshold corrections in supersymmetric type I seesaw model2010

    • 著者名/発表者名
      Sin Kyu Kang
    • 雑誌名

      Journal of High Energy Physics

      巻: 2010-11 ページ: 1-28

    • 査読あり
  • [学会発表] The variation of particle number in quantum mechlanical model2011

    • 著者名/発表者名
      両角卓也
    • 学会等名
      A.P.C.T.P.Winter School
    • 発表場所
      韓国, APCTP, Pohang(招待講演)
    • 年月日
      2011-02-25
  • [学会発表] 非平衡の場の量子論を用いた粒子数の時間発農とレプトジェネシス2011

    • 著者名/発表者名
      両角卓也
    • 学会等名
      新潟冬の研究会,素粒子物理学の展望
    • 発表場所
      新潟県湯沢東映ホテル(招待講演)
    • 年月日
      2011-01-07
  • [学会発表] Charged Higgs flavour-changing current in τ→ν_χ Kπ^υ2010

    • 著者名/発表者名
      両角卓也
    • 学会等名
      The 11th International Workshop on Tau lepton Physics
    • 発表場所
      英国, Univ.of Manchester(招待講演)
    • 年月日
      2010-09-13

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi