研究概要 |
広範囲のバリオン密度領域にわたる中性子星物質として実現されるバリオン多体系の存在様式・バリオン組成を探求するためには、核物質における3体力と多体相関の寄与を定量的に理解することが基本的に重要である。初年度は、核子多体系における核子間相互作用の性質と多体相関そして3体力の関係を明らかにするため、軽い有限核^4Heを対象として結合クラスター理論の枠組みでエネルギー計算を行い、3体相関と3体力の寄与を解析する研究を着手した。数値計算プログラムの作成をほぼ終了し、いくつかの3体相関の役割が明らかにできた。ここで用いている方法は、九工大グループが定式化した[K. Suzuki, R. Okamoto, and H. Kumagai, Nucl. Phys. A580(1994)213]多体相関平均場を系統的に導入する結合クラスター法であるが、この方法が、世界でいくつかのグループが実行している他の処方の結合クラスター法に比べ、多体相関を扱う上で非常に見通しの良い枠組みであることを、相関を求める方程式を具体的に比較することによって明らかにした。 中性子のみからなる核物質におけるハイペロンのポテンシャルエネルギーを、結合チャンネルG行列方程式を数値的に解いて求める予備的計算も並行して行い、私が用いるバリオン間相互作用がどのようなアイソスピン依存性を持ち、そしてΛ・Σ・Ξハイペロンの質量が高密度中性子性物質でどのように変化するかを調べた。
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