本研究課題では,外界(環境系)との相互作用下にある注目量子系の物理を,これまで不問に付されてきた感のある環境系のダイナミクスや量子系のコヒーレンスやエンタングルメントといった量子論的特徴の振る舞いを通して解析し,いわゆる開いた量子系の理解を格段に進めることを目指した.特に,環境系の特徴付けと開いた量子系の動力学の解明を進めるとともに,量子情報分野や場の量子論といった関連分野への応用を様々な観点から遂行した.なかでも量子論に特徴的な測定操作がダイナミクスに及ぼす影響に関しては,従来考えられていた以上に決定的役割を果たし得ることが明らかになった.
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