研究概要 |
1998年に,これまでの宇宙描像を大きく変更するブレインモデルが提案されて以降,5次元以上の時空構造の研究は,トーラスのトポロジーを持つブラックホール解が発見されたり,LHC加速器実験による観測の可能性が示唆されるなど,たいへん注目を集めている.本研究では,高次元時空の本格的なダイナミクスを,数値計算を用いて研究し,時空特異点の形成条件やブラックホールの安定性問題に取り組んでいる.また,計算手法の開発も課題としている 2010年度には,5次元時空での一般相対論的ダイナミクスを追うことのできるコードを開発し,重力崩壊現象について,4次元時空との比較を行った.具体的には,1991年にShapiro-Teukolskyによって報告された軸対称スピンドル形状の物質の重力崩壊をモデルにした.高次元になると,重力の伝播する自由度が大きくなることから,重力崩壊はより迅速に,より球対称形状に進むことがわかった.また,スピンドル形状が極端に長い場合には,ブラックホール地平面が形成せず,裸の特異点が出現する傾向も確かめられたが,5次元では地平面の形成条件もより広いものであることが分かった また,安定な数値計算手法に関して,新たな定式化を1つ行い,その有効性を確認した,2004年にFiskeによって提案された,運動方程式に拘束条件の2乗の汎関数微分項を加えるアイデアを,ADM形式のEinstein方程式に適用した、我々は,Lagrange乗数の自由度を用いて拘束面をアトラクターとする定式化について,一連の研究を展開しているが,その1つとして,利点や難点を明らかにした
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