研究課題
22年度、2次元輻射流体計算で磁場がどの程度生成れるかに関る研究をまとめた論文を出版した。23年度は、さらにビアマン・バッテリー効果を含んだ2次元輻射流体計算による磁場生成の研究を出版した。これに加えて初期宇宙の環境(初代の銀河中など低金属量の環境)での磁場とガスのカップリングを調べる研究を進めている。万全を期するためにダストのサイズ分布の効果を取り入れ、再計算を行った。結果は昨年度得られた臨界金属量を大きく変えるものではなかった。まずはこの論文を完成し、論文を出版することを目指している。また23年度は22年度に引き続き、これまでの研究でわかってきた初代星形成時や初代銀河形成時の種磁場の大きさが与えられたときに、ガスと磁場のカップリングを考慮して、実際に星形成に初期磁場がどの程度重要な役割を果たすのかを、非理想磁気流体計算によって明らかにする試みを行ってきた。まだロバストな結果は得られていないが、24年度中に論文として出版することを目指す。また、輻射で磁場が生成するメカニズムは、これまで計算してきたような大質量星が近傍のハロー周辺を電離するような状況設定以外にも、大質量星が生まれるときにその周りで出来る円盤でも働くことが予想される。このときにはスケールがずっと小さいために、大きな磁場が生まれ得ることが期待される。この問題の研究には新たに大学院生1名をすでに配置して研究を行ってきた。降着円盤周りの電離構造はすでにNASAの細川氏らによって2次元の計算で得られているので、細川氏に協力を得、計算データを再処理することで磁場の成長を計算している途中である。
2: おおむね順調に進展している
初代星の輻射による種磁場生成に関する論文を2本出版しており、まずまず成果は上がっているが、それに続く磁場とガスのカップリングの研究はやや遅れている。おおむね結果は出ているが、万全を期して精密化しているためである。
最終年度であるので、今年度にこれまでの研究をまとめて発表することが最優先となる。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Computational Star Formation, Proceedings of the International Astronomical Union, IAU Symposium
巻: Vol 270 ページ: 195-202
Doi: 10.1017/S1743921311000366
Astrophysical Journal
巻: 741 ページ: article id.93
10.1088/0004-637X/741/2/93