研究概要 |
理論・観測の両面から重力崩壊型超新星爆発における非球対称性の重要性が明らかにされている。しかしながら超新星爆発における爆発的元素合成研究の多くは球対称が仮定され、様々な不定性を内在する。本研究では、世界に先駆けて、電子陽電子捕獲反応・ニュートリノ吸収反応による電子比進化を考慮した現実的な2,3次元非球対称超新星爆発シミュレーションに基づいて、重力崩壊型超新星における非球対称爆発的元素合成を調査する 本年度は、昨年度に行った15倍太陽質量の大質量星の2次元非球対称超新星爆発シミュレーションに基づく放出ガスの化学組成調査に引き続き、様々な質量および金属量の大質量星に対して放出ガスの化学組成を網羅的に調査した。高密度物質の性質に関しては未だ不明な点もあり、爆発の正否に重要な状態方程式には不定性があるので、本研究では、原始中性子星が存在する超新星の中心部は計算領域に含めずに、放射されるニュートリノの光度・温度をパラメータとして2次元非球対称超新星爆発計算を行った。爆発計算の結果に基づいて組成計算を行い、以下のことを明らかにした。(1)放出される鉄の質量は爆発エネルギーに正の相関がある。(2)逆に[Mg/Fe]は爆発エネルギーに負の相関がある.ここで[A/B]は核種A,Bの質量比X(A)、X(B)(およびその太陽系での質量比)を用いてlog[(X(A)/X(B))/(X(A)sun/X(B)sun)]で与えられる。(3)金属量0の大質量星の超新星爆発によって放出されるガス組成を質量関数で平均した組成は,低金属量恒星の表面組成の観測値をおおむね再現する。
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