研究概要 |
本年度は、当該研究テーマの高次元ブラックホールの研究の現状・課題を把握する目的で、最近までに分かったことの総括と、今後取り組むべき問題点の整理をおこなった。 まず、高次元真空ブラックホールの一般的性質として、「ホライズンのトポロジー」「定常ブラックホール時空の軸対称性」「定常解の一意性」に着目し、これらのブラックホール時空が、大域的保存量だけでは一意的に決定できないこと、それを補完するために必要なロッド構造(区間構造)と呼ばれる準局所的な不変量について、最近分かったことをまとめ、発表した。("Topology and Uniqueness of Higher Dimensional Black Holes "Progress of The oretical Physics Supplement 189巻pp. 52(2011年)招待レビュー論文,項目13.参照) 次に、やはり高次元ブラックホール解の分類問題として重要な観点である、「高次元ブラックホール解の安定性」について、特に時空が静的な場合について、線形摂動のゲージ不変な定式化とその応用による線形安定性の最新の研究結果をまとめた。ここには一般相対論における高次元解だけでなく、その他の興味ある理論として、Lovelock重力という高次曲率項を含む理論のブラックホール解についての最近の研究もふくめて整理しレビュー論文として発表した。("Perturbations and Stabihty of Static Black Holes in Higher Dimlensions "Progress of Theoretical Physics Supplement, 189巻pp. 165(2011年)招待レビュー論文,項目13.参照)
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