研究課題/領域番号 |
22540300
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
野尻 美保子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究, 教授 (30222201)
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キーワード | 素粒子論 / 素粒子実験 |
研究概要 |
1、Universal extra dimension模型では標準模型を同じ量子数をもった重たい粒子がほぼ質量が縮退した状態で現れ、そのなかで一番軽い粒子は安定である。このようなスペクトルをもった粒子は崩壊によって高いエネルギーの粒子をだすことはないため、発見は難しいと考えられてきたが、生成される質量は重いためInitial state radiationからくるジェットのPTは大きいと考えられる。そこでMT2という量を定義してバックグラウンドであるtop粒子生成などはMt2で高い値を出さないのにたいして、UEDでは生成に伴うISRの存在によってMT2分布がハードになることを利用して発見が可能なのではないかという指摘を行った。 2、Little higgs模型ではクオークパートナーがフェルミオンであり直接ゲージ粒子のパートナーに崩壊するため高いエネルギーのジェットが生成される。このようなシグナルジェットはISRと比べて非常にエネルギーが高いため、非常に確実に選別することができる。この性質をもちい2つのジェットから、元のパートナー粒子のスピンを再構成する方法を開発した。 3、Little Higgs模型で予言されるトップパートナーの崩壊パターンについて研究しとくにb jetの多いシグナルが模型を識別する上で重要であることが分かったので、バックグラウンドについて研究をおこなた。 4、1の研究を応用して縮退した超対称模型の場合についても研究を行っている。超対称模型の場合gluinoの対生成と3体崩壊が重要であり、ISRが重要であるが、生成断面積が小さいためさらないバックグラウンドを落とす方法を開発したりgluinoから崩壊してくるジェットをとらえることが重要になるのでこの点について評価を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にあったInitial state radiationの効果を検討することで、縮退している超対称模型についてシグナルとバックグラウンドをより明瞭にわけることが可能になったため
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今後の研究の推進方策 |
今年度はLHCが7TeVで可動するため,あたらしいエネルギーでのバックグラウンド評価が発見の物理に大変重要となるためMCを用いて評価をおこなう。縮退した超対称模型はLittle Higgs模型とことなり質量に対してさんさん断面積が少ないが、これについても評価を行う。また現在Randall-Sandram模型の現象論に取り組んでいるがLHCのデータをもとにgluon KK->ttbar process等からくる制限についても検討し、jet substructureでの経験を生かした解析を行う。
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