研究課題/領域番号 |
22540310
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 佳孝 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (60093457)
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研究分担者 |
民井 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (20302804)
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キーワード | ガモウ・テラー遷移 / 荷電交換反応 / (3He,t)反応 / 強い相互作用 / 弱い相互作用 / ベータ崩壊 / 元素合成 / ニュートリノ |
研究概要 |
ミクロで動的な元素合成に目を向けると、強大な核力(強い相互作用)は当然として、意外にも弱い相互作用の働きが大きい事に目をみはる。巨星の超新星爆発に伴う高温高密度状態でのニュートリノ起源の元素合成はその典型的な例である。ニュートリノは弱い相互作用のみで元素合成に関与するが、ニュートリノそのものを使っての元素合成研究は、ニュートリノの相互作用の弱さ故に絶望的である。同じく弱い相互作用によるベータ崩壊の研究では、半減期から反応速度(遷移強度)の絶対値が決まる事で重要な役目を果たすが、崩壊測定ゆえに高励起状態のニュートリノ起源の元素合成への寄与を研究できない。そこで、核子当たり100MeV以上、0度を含む超前方での測定という条件の下では、強い相互作用で起こる荷電交換反応が、逆ベータ崩壊のように振る舞い、弱い相互作用で起こる代表的な遷移である、フェルミ遷移と共に、ガモフテラー遷移を高励起状態まで研究可能である、ということに目をつけた。 その目的のため1)高分解能が得られる(3He,t)荷電交換反応を用いた、超新星爆発に関与するpf-核におけるガモフテラー遷移の研究を進めた。さらに2)ベータ崩壊の研究で低、中励起状態への遷移強度の絶対値を決め、それを標準とし、荷電交換反応で得られる高分解能を武器に、高励起状態へのガモフテラー遷移強度を明らかしようとしている。1)の実験は大阪大学で、2)の研究は、ドイツ・GSI研究所、フランスのGANIL研究所で行ってきた。実験結果の解析を、大阪・Valencia (Spain)・Istanbul (Turkey)の国際合同チームで行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪大学・核物理研究センターでの実験、データ解析、解析結果の国際議論、論文の執筆等、かなり歯車がかみ合った状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題に関する、荷電交換反応によるガモフ・テラー遷移の研究の為の実験提案が、大阪大学核物理研究センターで23年度に受理された。24年度前半に、共同研究を進めているスペイン・バレンシアIFIC研究所、トルコ・イスタンブル大学のグループの人たちと、共同実験を予定している。またこれまでに得られたデータの、解析を進めていく。 また理化学研究所では、荷電交換反応とは鏡映対称な関係にあるベータ崩壊実験の実験提案が受理された。これは、ベータ崩壊により放出される陽子(遅延陽子)とガンマー線(遅延ガンマー線)を、大規模な検出器を使い測定するEURICA計画に参加する形で実験を行う。24年度に準備を進め、実験を25年度に予定している。
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