Spring-8 LEPS ビームラインやJ-PARC での遅い取り出しビームラインにおける大強度ビームを用いた実験が進行中もしくは実施されようとしている。検出器からの信号のパイルアップを避けるため検出器の大型化、細分割化のため多数のデータを並列に読み出す必要がある。これに対応するため効率のよいデータ収集系が必要になっている。 本研究では最新の工業規格MicroTCAを用いて、低コストで小規模から中規模実験に対応できるデータ収集系を開発した。MicroTCAでは、多数の回路モジュールからのデータ転送において、point-to-pointのシリアルデータ転送が可能であり、並行度を上げることでデータ収集の効率向上が可能である。 検出器からの信号をデジタル変換するフロントエンド回路モジュール、トリガー信号などデータ収集のコントロール信号を分配するトリガー回路モジュール、フロントエンドからのデータを収集し、計算機に転送するリードアウト回路モジュールといった、データ収集システムに最小限必要な回路要素の開発・製作を終了した。 データ収集システムの性能評価及び最適化は終了し、本番の実験に組み込んだ性能評価を近く終了する予定である。また、開発したデータ収集システムは原子核実験だけでなく、衛星システムの地上試験・開発に利用されはじめている。 開発したデータ収集システムで使われるデータ転送プロトコルや実装方法を基礎に、ATCAによる更に大規模な実験に対応できるデータ収集システムの開発に展開する予定である。
|